2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』

問題の規模がでかすぎるので、気づいた点だけ箇条書きでメモ的に記述していくしかない。おびただしい数の個々のイメージの奇怪さや、襞のように屈曲した細部の複雑さなんかはいっさい無視して、テクストの形式面にかかわる点だけ。 レーモン・ルーセルの手法…

ゾラ『ナナ』

のっけから引用長いよ。 〔…〕強い光が突然死人の顔を照らした。それは見るからに恐ろしかった。みんなは身慄いして逃げだした。 ──ああ、あの人は変わっちまった。と最後までとどまっていたローズ・ミニョンは呟いた。 彼女は部屋から出て、扉を閉めた。ナ…

レーモン・ルーセル『アフリカの印象』

読み方は最後までよくわからなかったんだけど刺激的な作品だった。以下とっちらかったメモ。 訳者の方の解説やフーコーの文章*1なんかを読むと、レーモン・ルーセルは自分の書いた作品の幾つかを、自身「手法(プロセデ)」と呼ぶ、ある特異で秘教的な性格をも…

ゾラ『居酒屋』

小説のドラマの水準には度を越した過大があるように思った。主人公である洗濯女ジェルヴェーズの汚辱にみちたむごたらしい死で終わるこの物語は、彼女の人生からの転落と道徳的な廃頽を克明に追って、その叙述により、際限のない極大化にいたる過大な負荷を…