下書き30日目


 最終30ページ目に手をつけたところまで。
 最後のページは大きめのコマにペテルブルクの町の風景を鳥瞰図風に描くつもりなんで、物語は前のページまででいちおう描き終えた。
 29ページでは半ページ分ほど使った大きめのコマでの描写を試みてみた。A4サイズの原稿用紙の半ページ分程度の大きさでも、いざ描くとなると難しいもんだと感じた。ジャンプにのってる格闘もののマンガなんかでもこの程度の大きさのコマはいくらでも出てくるけれど、見ると描くとじゃ大違いって感じだった。手を動かす半径が圧倒的に広い。ここまでこのマンガを描くのに使っていた手の動きは手の平から手首くらいまでの半径におさまっていたはずだけど、このくらいのサイズの絵になると肘までの動きを意識しないと、ふつうに、描くのが困難になった。描写についやせる面積もぐっと広くなるから線の情報量もあげてやらなけりゃならないし、解像度みたいなものもぐんと高くなって、漫然と線を引いてしまうとあきらかに間違えと思える場所に線がたどりついてしまう。
 これまでマンガを描いていたときは、コマが小さくて描きづらいなー、A4は窮屈だなーとか思うことがしばしばあったけど、大きい絵は大きい絵で、またぜんぜん別の難しさがある。
 絵がうまくなる近道のひとつはでっかい絵を描いてなれることじゃないかなとも思った。小さい絵を描いていてそこからでっかい絵にうつると、自分がそうだったように、どの線がほんとうに正しい線だったかちょっと困ってしまって対応につまることがあるように思う。逆に、でっかい絵を描いてそこからもっと小さい絵にうつればその種の困惑はないように思う。解像度を上げるのには純粋に技術的な難しさがあるけど、下げるのには省略のセンスとか考え方の問題があるだけで、技術はすでにクリアできているって感じじゃないだろうか。いろいろと奥は深いぜ。

……一ヶ月間いちおう毎日ブログを更新してみたけど、下書きも一段落ついてあとは最後のページと、残してある空白を埋めたり、すでに描いた絵を手直ししたりと、やることも見せることもなくなってきた。ペン入れ済みの原稿なんかも基本、貼ってきた原稿の画像の線が濃くなってベタが入る程度の違いしかないから、ブログでその過程をいちいち公表する意味もあまりない。ということで、毎日更新はもうこのへんでやめたいと思う。もともと、ブログを毎日書かなきゃならないほどの何かが自分の中にはまったくないんで、この一ヶ月は柄にもないことをしたっていう気持ちがないわけではないんだけど、できた原稿を自分で見返す楽しみのためにこんな恥さらしなことをあえてしてみた。通常運転にもどって、たまーに本とかマンガを読んで、興奮してどうしてもおさまらなくなったら感想をちょろっと書いて、みたいスタイルにもどそうと思う。定期的にこのマンガ描きの記事を読んでくれてる人がいたとどうかはわからないけど、もしいたんだとすれば、ありがとうと言っておきます。
 さ、マンガつづけよう。マンガ楽しいぜー。描くの楽しいぜー。へっへっへっ。