下書き18日目


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 雪の背景に人物のロングショットという構図を多用しているために、絵を描いていてもあんまりおもしろくないうえに、あまりに絵づらが単調で不安になってくる。カンテラとか街灯の明かりをさしこませてトーンとベタで表情をつけていくつもりではあるんだけど、これはうまくいくかどうかまったく先が見えない。というか、失敗の予感がぷんぷんする。まあいっちょダメもとで挑戦してみる。
 描きこんでいる絵が細かすぎるかもしれないという心配もある。A4原寸なら問題はないんだけど、このあとプリントアウトするさいはA5サイズに縮小するつもりなんで、単純にすべての絵が半分の大きさに縮まってしまうことになる。ペン入れ前に一度試しに印刷してみて、見え方を確認してみる必要があるんだろう。場合によっては手直しもありうる。めんどくさい。
 描いていて思ったんだけど、人物なんかを大きく引いて捉えるときには、個人的な感じとして、説明的な調子が強く出る。たんじゅんに情報がほしいときにはロングショットのような視点がほとんど無自覚にイメージにあらわれる。アカーキイが歩く、それを警官が呼び止める、いっしょに歩き出す、みたいな提示されるべき情報がそこでそのとおりに読み取られるだけでいいような場合が、頭の中で想定されているんだろう。見るテンポと情報を読むテンポがとどこおりなく足並みをそろえていく感じ。
 逆に、対象にグッとよっていくと描写的なニュアンスが強くなっていく。その場合は、説明を読んでほしいんじゃなくて、描かれた絵をもっぱら見てほしい感じになってる。ことばに対する感覚にうったえるんじゃなくて、イメージを見せたいときにそういう絵が浮かんでくるような感じ。コマを通過する速度もがくんと落ちて、視線も枠の範囲内で適度に散らばる。不純物が混ざる感じだろうか。
 状況を説明するようなナレーションなんかが必要な場合は、引きの絵にかぶせるとサマになるように感じる。構図の性質とことばがマッチするからかもしれない。アップの絵なんかでナレーションを入れるんだったら、描かれている絵とはちょっとズレたことばを差しこんでやると変な感じがしておもしろくなるんじゃないだろうか。どうだろう。