下書き17日目


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 アカーキイが追い剥ぎに襲われて外套をうばわれる場面。作品の中でほとんど唯一アクションらしいアクションの描写が見られるシーン。原作の描写だとアカーキイはお尻のあたりを強盗にチャランポされてひっくりかえってしまうことになるけど、マンガのほうじゃでかいこぶしで殴られることを示唆しておいた。「役人のあたまほどもある大きなこぶし」っていうゴーゴリの記述がおもしろかったもんで。
 「ドラゴンボール」とかジャッキー映画直撃の世代なんで格闘シーンとかアクションはマンガでも映画でも大好きだけど、自分で絵を描くぶんには、まあなくてもいいかなとは思う。高野文子の「棒がいっぽん」じゃないけど、「うどん3センチ分」みたいなミニマムな動きの展開とか圧縮のほうが、イメージを追っていくぶんにはずっとおもしろいように感じる。そう考えると、ロブ=グリエでもクロード・シモンでもいいけど、ヌーヴォーロマンの作家の細部描写なんかもマンガにするとおもしろそうだ。けど、ちょっと考えるとやっぱりきつい気がする。描写にかんしては鬼のように厳密な人たちだから、マンガにして遊ぼうとしたとき、こちらからは手を加えるべき余地がほとんどないんじゃないだろうか。そういう意味じゃ、20世紀のとんがった作家たちの作品よりかは、19世紀に書かれた小説のほうがずっとイメージが遊ぶ余地があるように思う。カフカは誰が描いてもきっとおもしろくなる。けど、ムージルくらいになるともう相当きびしいように思う。
 そういえば、まだ実物は確認してないけど、今日あたりに藤子不二雄の「ユートピア」が書店に並んでるんじゃないだろうか。「まんが道」大好きで子どものころからずっと読んでみたかった作品だけど、ちょっと値段がはりすぎて今手持ちにその余裕がない。品切れになってないことを祈って、来月あたりにぜひとも手に入れたい。氷爆見てみたい。